続き… ページ19
小さい頃、俺は国境壁近くのスラムで暮らしてた。
近所のガキと、身を寄せ合って生きていた俺は明日も知れぬ身で、
ゴミを漁り、人から盗み、時には殺しでさえやってみせた。
そんな糞みたいな環境でも毎日必死に生きてこれたのは本当にAのおかげだったと思う。
小さな子どもの頭が入るか入らないかくらいの国境壁の穴。
そこが俺とAの場所だった。
『ぞむ…、ぞむ〜？いる……？』
「おるで、Aそんな名前呼ぶと見張りにバレるわ。」
壁の向こう側で“ごめんごめん”と笑う顔が酷く記憶から離れないのは自身へ無意識な戒めのつもりなのか。
今日あった嫌な事、嬉しい事、他愛のない会話をしていた。
決まった時間なんてなくて、毎晩国境壁まで行ってお互いに相手が来るまで待つ。
小さな幸せでも、永遠に続いて欲しいとさえ願うほど居心地がよかった。
まさか、それを自ら壊してしまうとは思ってもいなかった。
いつも通り、財布やら金品やらが盗めそうなやつを物色していると、１人の男が話しかけてきた。
「なあ、君。この写真の子をしってるかい？」
怪しい、あまりにも怪しい男が出した写真には首輪のかけられたAが写っていた。
今は写真というのは高価とはいえある程度一般人が祝い時に使うが、
当時は本当の金持ちしか使えないほど高価だった。
「なんのつもりや、ソイツのことを知ってどうするつもりなん。」
馬鹿な答えだ。自分は写真の少女を知っていると白状しているのと同じだ。
男は目を細めると不気味に笑ってそのまま離れていった。
「何やったんや。」
俺はその日も国境壁へ向かった。そして、その男の事を話した。
『………そう、なんだ。教えてくれてありがとう。気をつけるね。』
「おん、気を付けや。……じゃ、明日も来るわ。」
『うん、またね。』
その直後だった。
『ッ、なに！？』
Aが叫び声をあげた。
「Aッ！？！？大丈夫か！？」
『ぞむっ、助けてっ！！』
幼い頭で咄嗟に思いつくAを助ける方法は１つしか無かった。
「おいッッッ！！！！！国境兵！！！！」
出来る限り大きな声で息を切らして、壁の向こう側にいるであろう兵士を呼ぶしか無かった。
すると、必然的にこちら側の兵士も気付いてこちら側に駆けてくる。
まずい、捕まれば俺もただではすまない。
「おい！！そこで何してるガキ！！！」
穴のフチを掴んだ手を握りしめてから離した。
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Ｒ(リン)(プロフ) - るるるアールさん» ありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！！頑張るのでぜひ楽しんでくれると嬉しいです！！ (8月24日 11時) (
レス) id: db93c912f5 (このIDを非表示/違反報告)
るるるアール(プロフ) - 初コメ失礼致します！上手く表現できないんですけど、書き方とかすごく好きです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (8月24日 11時) (レス) id: 42687bb38a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オバケ x他1人 | 作成日時：2023年6月15日 19時
